在宅医療とは |
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在宅医療とは、様々な慢性疾患、種々の疾患の後遺症、末期癌などを患っている方が、ご自宅を中心により自立した時間を持てるように支援するシステムです。 一般的に「往診」は、一時的に自宅で医師の診察・治療を受けることですが、私達の考える在宅医療は、医療保険、介護保険などのサービスを組み合わせて、自宅でもより高度な診断と治療を行いながら、生活のために入院・入所することなく、生き生きとした時間をご自宅でお送りいただくためのサービスの総称で、私達は在宅医療ステーションと呼んでいます。いばらき会では現在24時間対応の診療所・訪問看護ステーション、ケアプランセンターの3つの事業所が1カ所に集まった、在宅医療の拠点としての在宅医療ステーションを4つ運営しています。 高齢者・終末期患者の方々の生活は医療と様々な援助が密接に連携しなければ成り立ちません。そこで、私たちの診療所は、診療所、訪問看護ステーション、ケアマネージャー、その他の専門職が一体となることで、きめ細かな在宅生活支援のためのサービスを提供しています。 在宅医療は、ご家族がご自宅で医療処置を行うためのものではありません。 病気を持ちながらも、ご家族と共に豊かな人生をお送り頂くためにご自宅で生活される方に対し、医療的なことは私達が可能な限り行います。 利用される方と私たちがコミュニティーの中で共に生きていくということが基本ですから、ご本人・ご家族のご希望の実現のため、共に考えることができればと考えております。 在宅医療を提している医療機関の選択 在宅医療を提供されている医療機関もサービスの内容は様々であることが現実です。時間外、休日、夜間も、医師・看護師が訪問する体制を執っているところから、昼間の定期訪問だけ対応しているところまで様々のようです。治療内容も、病院と同等の管理をするところから、単に訪問して簡単な診察をし、処方箋を書くだけの所まで様々です。具合が悪くなったら、簡単に入院させてしまえばよいと考えているところも多く、患者さんのいわゆる囲い込みのための在宅医療をしているところもあるようです。在宅医療を行っている医療機関の選択は大変重要で、良く内容を確かめてから決めることがよいと思います。癌末期の緩和ケアを在宅でご希望になっていらっしゃる方は、特に医療処置がどこまでしてもらえて、どのような対応をしてもらえるか、注意して選ぶことをおすすめします。残念ながら、診療点数が高いために、最小の対応しかせず、在宅医療をうたっている医療機関もあることは現実です。制度的にも在宅医療は制約が多く、今後の改善が求められています。 私達は、病気であってもご自宅で豊かな日々を送っていただくことをゴールとして、活動しています。いばらき診療所では、夜間休日を含む24時間体制で、医師・看護師が対応し、様々な医療処置も可能な限り、ご本人。ご家族の負担も最小になるよう配慮しながら、治療プランを考えています。 在宅医療でできること まだ在宅医療に関しての理解が一般に行き届いていないのが現状です。在宅医療は近しい人を思いやるというお力をお借りしながら、より充実した医療を提供することが可能です。入院していても、医師や看護師と話をする時間は僅かですし、ご家族の負担は相当なものであると思います。在宅医療では、住み慣れた安らぐ場所でご自身やご家族の生活を維持しながら、より質の高い医療を実現することができます。例えば、車が故障したとき修理工場で直してもらいますが、車を使っていると壊れるかも知れないからと言って、修理工場に心配だから置いておくことはしないように、治せる病気をきちんと治療し、早くご自宅へお帰りになり自分らしい生活を取り戻していただければと思います。今まで通院・入院しなければできないと考えられている多くの検査・治療が、ご自宅で可能な環境が整いつつあります。 以下に一例を示します。 |
診療 (24時間対応) 診察、紹介、死亡確認、点滴 経管栄養の管理、胃管の挿入 中心静脈栄養、CV catheterの挿入 呼吸器の管理、酸素吸入 膀胱留置カテーテルの挿入・管理、導尿 心電図、超音波、単純レントゲンなどの検査 血液・尿検査、血糖測定 辱創の処置・治療、その他縫合など創処置 関節穿刺、注射 心肺蘇生 癌性疼痛の管理、麻薬の管理 精神的サポート(本人、家族) 一般的な内科的治療は入院と同様に可能 看護・リハ (24時間対応) 清拭 食事・服薬介助指導 vital signのチェック 理学療法、ホットパック リハビリ 精神的サポート(本人、家族) 病棟看護師と同様な診療への協力 訪問介護 入浴介助、身体介護 その他の介護サービスの手配 薬剤 処方薬の配達 服薬指導 誰がどのような介入をしようが、住み慣れた安らぎのあるご自宅で生活できることほど、人の心をいやすことはできないと思います。 |